郷土料理の最近のブログ記事

「がんばろう 日本! 食べよう郷土料理」と題して、新刊情報誌「こどもの本」(日本児童図書出版協会)の2011年11月号から2012年4月号にて6回にわたる連載をしました。
3月号では東日本大震災で被災した宮城県気仙沼の「あざら」です。kodomonohon_m3_azara.pdf

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夏の冷や汁(ひやしる)-1

東京にいると、日本は次第に亜熱帯地域になってしまうのか、と思わせるこのごろです。
暑い夏にはやはりそうめんですか?

夏の食べ物として近年メジャーの仲間入りをしたともいえるのが「冷や汁」です。
冷や汁といえば、宮崎県が有名ですが、じつは各地に冷や汁やそれに類似する料理があるのです。
みなさんの家では作って食べますか?

地域によって、いりこを使ったり、アジなどの魚が入ったり、落花生が入ったり、とちがいがありますが、共通するのはゴマ。
たくさんのゴマをいただくので、食欲の落ちる夏には抜群の栄養食ともいえます。

一年ほど前、西の冷や汁を宮崎市で、東の冷や汁を埼玉県小川町で取材しました。
宮崎県の冷や汁はぶっかけごはん。
埼玉県のは冷や汁うどんです。
ちなみに、埼玉県小川町の隣町、川島町では同じ料理を「すったて」とか「つったて」とかとよぶそうです。
どちらの地域も、「ひやしる」であって、「ひやじる」とは濁らないというのをこのときはじめて知りました。


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◇冷や汁は氷で冷やす? 冷やさない?

ところで、宮崎県では氷は使わないのが昔からのやり方だとか。
てっきりギンギンに冷やして暑さをしのぐ料理だと思っていたのですが。
逆に暑いところだからこそ、氷や生水でお腹をこわさないように、との配慮だそうです。
最近お店で氷入りの冷や汁を出すようになって、そちらが全国的に有名になってしまった、と地元のおかあさんは言っていました。
たしかに冷たーいひやしるも美味しいのですが、暑いごはんにぶっかけて食べる、氷を入れずに出汁でのばした冷や汁は、冷やごはんに冷たいものをかっけるよりも、のどに通りやすく、お腹にもやさしくて、おいしかったです。ぜひお試しを!

さて、では埼玉県の冷や汁はどうでしょうか。
こちらは、水でのばして氷を入れて冷たくしてうどんのつけ汁になりました。

どちらもおいしいのですが、ごはんにかけるか、うどんのつけ汁にするかということが、氷の入る入らないのちがいに関係があるのではないかな、とも思えます。
たとえば、冷蔵庫で冷たくしたごはんは、ポソポソしておいしくないですね。
冷やしすぎるよりも、ほどよいぬくみがあるぐらいのほうが、ごはんがおいしいんじゃないでしょうか。
一方うどんは、湯であがりを水でキュッとしめてツルツルッといただく、というのがつけ汁で食べるうどんの醍醐味の一つ。冷や汁も冷たいつけ汁でツルッといくのがおいしいということかもしれませんね。



今春刊行した『未来へ伝えたい日本の伝統料理』(全6巻 小峰書店刊)が、「全国学校図書館出版賞」なるありがたい賞をいただきました(主催 全国学校図書館協議会・日本学校図書館振興会)。


この賞は、学校図書館向き図書の中で優れた出版企画に対して送られるもので、通常は大賞1点、出版賞3点が選定されるのですが、今年は出版賞が本書1点のみということで、ありがたさも倍増です。


本書の編集は、郷土料理の選定から取材依頼、そして北海道から沖縄まで実際に足を運んでの取材を敢行。47都道府県をすべて網羅しようと、全国行脚の一年半でした。


郷土料理といえば、昨今は地域の活性化に一役かっているところも多いですが、今回の趣旨は、とにかく郷土料理は本来は家庭料理だということで、地元の農家や漁師のお宅を訪ね、お母さん、おばあちゃん、時にはお父さん、おじいちゃんに作っていただきました。そして料理の話のみならず、いろいろなお話しをうかがいました。

日本の食文化の伝統を途絶えさせてはいけないというのが、皆さんの共通した思いでした。

だから、この賞は取材に協力していただいた全国の皆様にいただいた賞だといってもいいと思っています。

ご協力くださった皆々様、本当にありがとうございました。


さて、この受賞に際して、選考委員長の熊谷一之氏からのお話を少し紹介します。

「日本各地の伝統食を知ってほしい。作ってほしい。日本の食の豊かさを感じ取ってほしい。そして食について、日本の伝統について今一度見直してほしい。このような本書のねらいが素直に、そして強く読む者に伝わり、単なる料理の本以上の存在になっている」「子ども向きにとおもねるところがなく、大人でも読みたい、読み耽りたい内容となっている」(第12回「学校図書館出版賞」選考報告より)


この賞をきっかけに各図書館の蔵書となって、多くの方に読んでいただければ、取材にご協力いただいた全国のお母さん、おばあちゃん、お父さん、おじいちゃん、皆さんの思いを届けられると思います。