2012年10月アーカイブ

神楽南蛮

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ピーマンにしては小ぶりでちょっとつぶれたようなごつごつした姿です。これは新潟県長岡の伝統野菜、神楽南蛮。

南蛮、といえば南蛮漬け、鴨南蛮などいろいろな料理がありますが、ここではトウガラシのこと。

トウガラシは16世紀中ごろにポルトガルから伝わったという説が有力らしく、南蛮人がもたらしたところから南蛮こしょう、南蛮辛子と呼びならわされてきました。

特に新潟から東北地方あたりでは、今でもトウガラシではなく"なんばん"と呼ぶことが多いようです。南蛮味噌や刻んで醤油に漬けた南蛮漬けなど各地にご当地名産もあり、トウガラシは地域の味として親しまれています。

さて、この神楽南蛮、お尻の方から見ると神楽のお面のようだというところからこの名がついたとか。山古志地域で代々自家採取されて受け継がれてきた固定種で、部落ごとに数種類の品種があるそうです。

じつはトウガラシなどピーマンの近縁種は半径2キロメートルぐらいで自然交雑してしまうとても感度のいい野菜。この地域ではピーマンは栽培していません。ピーマンよりも神楽南蛮のほうがここの人たちにとっては普通の食材だったのでしょう。

今では、野菜は種苗会社から種を買って育てるのが一般的ですが、元々は自分で育てた野菜から種を採ってまた来年もそれを植える、ということがあたりまえだったのです。そうして長い長い年月をつないできたのです。その土地にあった種がその土地に寄り添って栽培されてきた野菜、それが伝統野菜です。

2キロで交配してしまう種が何百年も保たれてきたのは驚くべきことですが、それも山間の村だったからこそでしょうか。この地の人たちは、きっと、あたりまえのことをあたりまえのように続けてきたのでしょうね。

今では長岡野菜として、もう少し広く栽培されているそうですが、それぞれ少しずつ辛みの度合いとかが違うそうです。

味は、というと、種とワタの部分に辛みがあり、肉厚の外皮には辛みがないのが特徴。ピーマンのような青い実から、赤く熟したものまで食します。今回入手したのは青いもの。味はピーマンよりシシトウに近いでしょうか。豚肉と一緒に炒めてみましたが、ピーマンの青臭さとは異なる香りがあり、種とワタは少し残したので、ときどきピリっとくるおいしいものでした。

赤くなったものの方が辛みが回るとかいう話もあるので(未確認です)、こんど赤いのを見つけたら食べてみます。

地元では細かく切ったものを味噌につけ込んだ神楽南蛮味噌や、赤く熟したものを塩漬けして麹につけた南蛮の麹漬けなど、ごはんのお供の定番に。おいしそうですね。